古物商の役割
古物を売買・交換するのが古物商ですが、売買・交換するものが古物であるというだけで、なぜこんなにたくさんの書類を提出して許可をもらわなければ営業ができないのでしょうか。それは盗品等を早期発見して盗難や窃盗などの犯罪を未然に防ぎ、その被害を迅速に回復するためです。盗品等が持ち込まれた際にそれを素早く見抜き通報して盗難の被害者の権利を回復する、またそれによって盗難や窃盗自体の抑止になることも期待されています。古物商許可の申請先が「防犯係」であるのも欠格事由があれば申請できないのも(古物営業許可ってどうやって取るの?警察行かなきゃいけないって本当⁉参照)、換金されやすそうな13品目が古物に指定されているのも(古物商って何?勝手に物を売っちゃいけない場合があるって?参照)そういった理由があるからなのです。
盗難・窃盗、それらに続く転売を防ぐ目的なので。。。
大型機械類のうち以下のようなものは盗品として売買される可能性が低いため、古物商の扱いから除かれています。
・20トン以上の船舶
・航空機
・鉄道車両
・重量が1トンを超える機械で、土地等に溶接等で固定し、容易に取り外せないもの
・重量が5トンを超える機械で、自走及びけん引することができないもの
盗品ではないのですが。。。
以前、品質のよい日本の紙おむつを外国人が大量に買い占めて輸出するという事例が多発していました。日本の小売店は、1顧客に対して販売点数に制限をつけることによって買い占めに対抗しました。そのため海外への転売を行っていた業者は、他の者が買ってきた未使用のおむつを買い取り、海外へ輸出するようになりました。この業者は古物商の許可を取っておらず、後日無許可営業で摘発されました。
この業者が摘発された建付けはこうです。
・直接おむつをお店で購入し、転売した者→お店で買った新品を業者に転売するという行為は、自分の物を売ったということなので、古物を仕入れたとはいえません。すなわち、転売した者には許可は不要です。
・お店でおむつを買ってきた者から買い取った業者→お店から一度消費者の手に渡った未使用品を買い取ったので、古物を仕入れたことにあたります。だから、業者には許可が必要なのです。
このケースは正規の販売店で買った物なので盗品ではなく窃盗とは関わらないのですが、古物営業法第1条にある「窃盗その他の犯罪の防止を図り」の「その他の犯罪」にあたるおそれがあり、この場合は脱税の疑いがあります。外国人が帰国後自らが使う生活用品等は消費税が免税されるのですが、転売して利益を得るとなるとその免税の要件に該当せず日本国内で消費税を支払わなければなりません。消費税を支払っていなければ、消費税法違反となり追徴処分の対象となります。つまり、古物営業法から消費税法違反を見つけ出したということになりそうですね。
古物営業法1条 この法律は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。
古物商の義務
古物商には上記のような役割もあるため、それに伴う義務もあります。主なものを2つ挙げておきます。
義務1 営業所の義務
営業所とは古物の買取り、仕入、交換などを行う場所のことです。
営業所の義務としては3点あります。
①管理者の常駐
②古物台帳の備え付け
③古物商プレートの提示
古物台帳の記録は原則1万円以上の取引に適用され、作成・保管が義務付けられています。取引の年月日、古物の品目や数量、古物の特徴、相手方の住所や氏名、職業や年齢、相手方の身分を確認した方法などの情報を記載します。これは、その取引した古物が犯罪に関わる物であったときに迅速に警察に対応するために必要なものです。
古物について正しい知識を持った管理者が常駐し、記録を保存することによって犯罪を未然に防ぐという役割を全うしているのです。
※営業所、管理者については古物営業許可ってどうやって取るの?警察行かなきゃいけないって本当⁉参照
義務2 インターネットを利用した取引の際の表示義務
インターネットを利用して取引をする古物商は、自社のサイトに以下の3点を表示しなければなりません。
①古物商の氏名または法人名称
②許可を受けた公安委員会名
③許可証番号
個人で許可を受けた場合、その許可を受けた個人名を掲載しなければなりません。営業所の名称のみを表示することは認められません。
インターネットを利用して古物の販売を行うことは、特定商取引法の「通信販売」に該当するので、個人の事業者であっても「事業者の氏名」「住所」「電話番号」等を表示する義務が生じます。
オークションサイトやフリマアプリを利用する場合
古物商がオークションサイトやフリマアプリを利用して、古物商であることを表示せずに取引を行うことはできません。
古物商の義務について書いてきました。やはり事業性のあるものには、責任や倫理観など必要なものですね。もちろん、自分の物を営利目的ではなくフリマアプリなどで売る場合は許可は要りません。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。
